会社法が施行され、株式会社に対する概念が大幅にリニューアルされました。
主な特徴として
- 会社の機関設計が大幅に自由化された
- 発行する株式の内容と種類が多様化された
- 会社の機関として「会計参与」が新設された
の3点が挙げられます。
1.大幅に自由化された機関設計
会社法では、株式会社について、主に以下のポイントで機関設計の規律等が左右されます。
- 発行する株式の全部または一部に譲渡制限を設けていないか?
- 公開会社でない株式会社の中で取締役会を設置しているか?
- 会計監査人を設置しているか?
- 大会社であるか?
公開会社(発行する株式の全部または一部に譲渡制限を設けていない株式がある会社)には、原則として取締役会・監査役の設置が義務付けられ、大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)には、原則として取締役会・監査役会・会計監査人の設置が義務付けられています。
ところが、公開会社でない株式会社(発行するすべての株式に譲渡制限を設けている会社)は、かなり自由に会社機関の設計することが可能になります。
従来から存続する株式会社には、取締役会(取締役3人以上)および監査役の選任・設置が義務付けられていましたが、今後は、公開会社でない株式会社は、取締役1名での経営が可能になるなど自由度の高い機関設計が可能です。
また、公開会社でない株式会社においては、役員の任期が最長10年まで伸長することができます。
万一、貴社が「株式会社」という会社形態を設立・維持することだけを目的に取締役や監査役への就任をお願いしているとすれば、会社法の施行が機関設計を見直す絶好のチャンスです。
2.多様化された株式
従来は株式の種類によって譲渡制限を設けることは出来ませんでしたが、会社法施行後は、株式の種類によって譲渡制限を設けることが可能になります。
会社法施行後は、次のような種類株式の発行が可能になります。
- 譲渡制限株式
発行する株式について、その株式を譲渡により取得する場合は発行株式会社の承認を必要とする旨の定めが設けられている株式。
- 取得請求権付株式
発行する株式について、株主が発行株式会社にその株式を自己株式として取得するよう請求することができる旨の定めが設けられている株式。
- 取得条項付株式
発行する株式について、発行株式会社が一定の条件を満たしたときには強制的に自己株式として取得できる旨の定めが設けられている株式。
- 全部取得条項付株式
発行する株式について、発行株式会社が株主総会の議決によって強制的にその株式の全部を自己株式として取得できる旨の定めが設けられている株式。 前述の取得条項付株式との違いは、定めにより自動的に取得するか株主総会の議決により取得するかの違い。
- 拒否権付株式
株主総会における決議事項のうち、その株主総会の決議のほかに、別に発行する種類株式の株主を構成員とする種類株主総会の決議を必要とする旨の定めが設けられている種類株式。
言い換えると拒否権が認められた種類株式(「黄金株」ともいわれています)
3.新設された会計参与
取締役と共同して会社の計算書類を作成します。
「顧問税理士とどう違うの?」という疑問を抱かれる方もいらっしゃると思いますが、税理士の方は、会社が作成した計算書類を基に税法に則って申告書類を作成したり税務申告をしてくれます。会計参与は、会社の機関であり作成した計算書類に対する義務も発生しますので、顧問税理士の方と比べるとその責任は重いとも言えます。
ただし、最低資本金の規制がなくなり、剰余金の分配規制も緩和されたこと等から、外部から見た株式会社の信用は、会計参与の存在が左右することが予想されます。
会社法では、これらの機関設計や発行株式についての規律の多くが定款によって定められることになっており、『定款自治』が大きな目的の一つになっています。
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