『定款』は、会社の組織や運営に関する基本的なルールを定めた、いわば「会社の憲法」のような存在です。
『定款』には、「規則としての定款」とその規則を表した「書面としての定款」という二通りの側面があります。
会社は、関連する法律等によって規定されている部分がありますが、『定款』は、それを改めて条文化する面と法定規定を確かに満たしている証拠文書の面を併せ持っています。
会社設立時に、定款だけが公証人による認証と登記官による審査という厳格なダブルチェックを受けるのもそういった理由から必要とされています。(認証を受けるのは株式会社の設立時のみです)かといって、すべての事項が法律等で決められているわけではなく、会社特有の基本的なルールも定款に盛り込まれます。
従来の商法等の下では、様々な事項が法律で定められていて、会社設立時の定款は、設立登記時の添付書類としか取扱われていない「書面としての定款」のケースが数多くありました。
しかし、会社法では、法律で定める定款の記載事項は必要最小限にとどめ、その会社の現状、方向性、成長に合わせて規定し変更できる「定款自治」による範囲を拡大しています。
会社法の施行を機会に、「規則としての定款」として見直し、“会社に適した”定款として作成・見直しをする必要があります。
では、『定款』の記載事項について見てみましょう。
定款の記載事項は、その重要度によって次のような3つに分類されます。
- 絶対的記載事項
法律で記載を義務付けられている事項で、この記載を欠いたり記載内容が法律に違反する場合は定款自体が無効になります。
- 相対的記載事項
定款に必ずしも記載する必要はありませんが、記載がなければその事項は効力を生じません。
- 任意的記載事項
法律、会社の本質または公序良俗に反しない限り任意で記載することが可能ですが、記載された事項はその会社の規範となり拘束力が生じます。
<主な記載事項の分類>
|
株式会社 |
合同・合資・合名会社 |
絶対的
記載事項 |
*目的 *商号 *本店所在地
|
*設立に際して出資される財産の価額
またはその最低額
*発起人の氏名・住所 |
*社員の氏名・住所
*各社員の責任の限度(有限または無限)
*社員の出資の目的・価額・評価基準 |
相対的
記載事項 |
*変態設立に関する事項
(現物出資・財産 引受・設立費用)
*全部の株式の内容
*種類株式の内容
*譲渡制限株式の相続人等への売渡請求
*株券発行 |
*民法適用に関する事項
*業務執行社員の定め
*代表者に関する事項
*社員の退社事由の定め
*曽根記分配の割合
*会社の解散原因の定め
*解散時の財産分配割合 |
任意的
記載事項 |
*定時総会の開催時期 *事業年度に関する事項 |
一口に「会社」といっても、社長がお一人で切り盛りしている会社や、ご家族・ご親族で経営している会社、証券取引所や店頭市場に株式を公開しダイナミックに事業展開している大会社など、さまざまです。また、資本金も1円から数千億円までと規模も違います。
定款を変更することが決して目的ではありませんが、会社の成長、社会情勢、法律改正などの環境変化などに対応して定款を見直し貴社の現状と方向性を定款に反映させることは非常に重要です。
定款が会社設立時の単なる添付書類としてしか扱われなかった時代は終わり、貴社の現状と方向性を反映した貴社の『社憲』として活用する必要があると考えます。
定款に改良すべき部分があれば、株主総会で定款変更を決議し、これからの貴社にマッチした定款にしておきましょう!貴社の現状、取り巻く環境、日々変化する社会情勢、思い描いていらっしゃる貴社の将来像等々を考慮しながら、定款やより具体的な諸規程・諸規則を定期的に見直す必要があります。
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