最初は個人事業?法人事業?
確かに、個人事業の方がカンタンに始められます。事業の開始を、税務署・都道府県・市区町村の担当窓口に届ければ、手続は終わりです。また、税務署に青色申告の届出をすれば事業にかかる経費がある程度は認められます。
しかし、法人事業には次のようなメリットがあります。
1.社会的な信用を得やすい
「手続が面倒」ということを言い換えると「一定の基準を満たし一定のルールに従った証し」につながります。また、「会社を設立」すると個人とは別の「法人」という人格が認められ、会社の戸籍とも言うべき商業登記簿に登録され、「登記簿謄本」(最近では「登記事項証明書」という場合が多い)を誰でも入手できて会社の内容を確認することができます。
そういった理由で、社会的な信用を得やすいと言えます。
※個人事業でも、その商号等だけを登記することができます。
2. 基本的に有限責任である (株式会社、合同会社の場合)
個人事業の場合は、権利義務はすべて事業主個人にあります。
事業によって得た利益は個人の利益とみなされますし、融資を申し込む際も事業主個人とその資産をもとに審査され、事業によって生じた債務(借金)はすべて事業主個人の責任となります。法人事業の場合は、事業によって得た利益は法人の利益であり、社長である貴方の収入は、役員報酬という形で経費化されます。また、債務についても法人が責任を負うもので、創業者である貴方は原則として出資した額の範囲で責任を負えばよいのです。
※設立当初は、社長の連帯保証を求められるので一概に有限責任とは言い切れないのが実態ですが、個人事業の場合、連帯保証人は常に第三者に依頼する必要があります。
3.社会保険に加入できる
個人事業の場合は、事業主の社会保険は国民年金・国民健康保険への加入となります。会社の場合は、社長である貴方も制度面で有利な厚生年金・社会健康保険に加入できます。また、法人の場合は保険料の半額が経費化できるので貴方の保険料負担を軽減できます。
4.事業の承継に有利
個人事業では、貴方の事業を承継しようとしても、一旦は個人事業を廃業して事業資産を譲渡し、新たに事業を興す必要がありました。また、従来の商法では、相続や合併などによる株式の移転を制限することはできませんでした。
会社法では、定款に定めることにより相続その他により株式を取得した者に対して株式会社はその株式の売渡しを請求することができますので、株式会社にとって好ましくない者が株主になることを回避できるという規定が新たに設けられています。 |